視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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高齢視覚障害者の社会・心理ケアのポイント
*久保 明夫
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p. 47

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抄録
 一般に高齢者の特徴として、身体機能、生理機能、心理特性、感覚機能、生活構造の変化がある。別の視点では高齢期の危機は、健康、経済、家族の喪失といわれている。しかし、頑固さなどの特徴が目立ってきた場合、それは知的能力や自己抑制力の低下や環境の変化のため適応が困難となり、元来の性格特徴が先鋭化したもので、もともと柔軟で調和的な性格の人は高齢になってもそのような変化は示さない。つまり、変化は必ずしも高齢によらない。しかしながら危機を乗り越えるには、「新しい役割の獲得と活動へのエネルギーを再び方向付ける」ことにあるという。
 高齢視覚障害者の場合は、視機能の低下が生活変化に多大な影響を及ぼし、時に高齢者の変化の様相となることもあろう。しかし、どの高齢視覚障害者にもすべての変化が生じるのではなく、一人ひとり家族、健康、経済等の環境や人生が異なる。したがって、高齢視覚障害者に定まった支援モデルはない。
 ここで、事例を述べてみよう。81歳、女性、独居、緑内障、瞭眼視力は0.2、障害者手帳5級、老齢年金受給。買い物は杖を携帯し近くのスーパーで。週2回、病院と併設の施設で内科・眼科の治療とデイサービスを利用。近くに長男が居住。毎日、遠方の娘と電話で話す。また、知人が自宅に集まりお茶飲み会を行っている。このケースの場合、家族や知人に恵まれ、お茶飲み会は能動的な活動といえる。医療・介護保険施設を有効に利用し、住み慣れた地域の中で社会生活に適応している。
 高齢視覚障害者ケアのポイントは、一人ひとりの視機能の理解と人生を尊重することである。それには、青壮年者のように訓練を行い生活能力の向上を図るというより、環境調整が大切となる。つまり、家族、知人、医療機関、介護保険、障害者手帳、地域の特質などを視野に入れた総合的な環境調整が必要である。
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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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