抄録
70代後半~80代で受障した人に「視覚障害リハビリテーション」というものがあると伝えても「見えなくなったから何もできない」と思い込んでいる本人、家族からは反応がないと思います。この方たちに「見えなくてもできることがある」と理解してもらうこと、その方法を知っているのがこの人と気づいてもらうことが大切です。
ケアマネージャーからの紹介や障害者手帳交付など初回訪問時に、家電製品のスイッチなどに凸シールを貼り「触ることでわかる」体験をしてもらえると、他のことを紹介しやすくなります。またロービジョンの方には拡大読書器を持参し、読めるかどうか、生活に必要か、操作可能か見極めます。
触って確認することで電話をかけることができるとわかり、同居の妻が倒れても救急車を呼ぶことができるとか、音声時計を使うことで家族に聞かなくとも時間がわかる、ということだけでとても喜ばれることがあります。専門職から見るとたいしたことと思わないかもしれませんが、このレベルの情報もまだまだ浸透していません。そして多くの人はまず、家族に迷惑をかけたくないと思っています。少しでも家族の負担を減らすことができるのが重要ポイントです。ただ、高齢の方には指導時間が長時間にならないよう、内容が複雑にならないように配慮します。
ポータブルレコーダーや拡大読書器などの操作を伝える場合、1度ではなかなか覚えられないことがあります。覚えられないことを申し訳ないと思う方もいらっしゃいますので、時間をおいてさりげなく同じことを伝えることが重要です。
また70代前半で指導してできるようになったことが80歳前後でできなくなってしまうこともあります。せっかく教えたのにと思わず、90歳くらいで拡大読書器を使いこなす人もいますので、若い人より多様性が増すと考えて対応した方が指導員の心的負担も軽くなるのではないでしょうか。