視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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シンポジウム
地域の空白
*原田 敦史
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p. 52

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抄録

【東北の状況】
 視覚障害者のリハビリテーション施設は全国にそれほど多くなく、また地域的に偏っている部分がある。特に東京より東側では少ない傾向にあり、東北ではリハビリテーション訓練を提供している施設は、日本盲導犬協会仙台訓練センターのみとなっている。また歩行訓練士とよばれる職種がいるのは、宮城県と秋田県のみである。
 日本盲導犬協会では仙台にセンターを開設後、徐々にサービス提供地域を広げて現在は東北六県と新潟県を対象にサービスを実施している。各事業については、この研究発表大会でもたびたび報告をしてきた。主な事業は訪問訓練、入所訓練、相談講習会で年間70名ほどの視覚障害者にサービスを提供している。

【今後の課題】
 今回の東日本大震災の支援のなかで、多くの人が視覚障害の団体と接触したことがなく、加えて音声時計や拡大読書器という道具を知らなかったということが明らかになった。宮城県では支援を希望した5割弱の人が機器等について知らなかったと回答をした。
 情報が届いてない視覚障害者が多いということは以前から言われてきたことではあるが、今回これが数値で表れたのである。東北には宮城県以外にリハ施設はないものの、全国同様に盲学校や点字図書館、視覚障害者協会はあり、またNPOによる支援も少なからずある。そこから考えると基本的な情報が届いてないという人は全国でも多数いることが予測される。要因としては、行政・医療の対応、制度の問題、高齢化と様々なものを含んでいると思われるが、解決すべき問題なのは事実である。これをいかに解消していくのか、現在のシステムがうまく機能していないことは明らかであり、発想の転換が必要だと思われる。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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