視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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シンポジウム
乳幼児期の支援に関する現状と課題
*香川 スミ子
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p. 53

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抄録

 シンポジストとして表記のテーマを引き受けてしまってから、改めて、これまで自分が係わりやってきたことや考えていることは、この大会で期待されていることの一部でしかないことに気づいた。そこで、教育、福祉の領域で実施されている内容や方法、システム等について調査し、その現状や課題を明らかにする必要があると考えた。それに先立ち、視覚障害教育や福祉関係者からお話しを伺い、さらにこれまでにまとめられた文書等にも目を通したうえで調査内容を考えることにした。そのなかで知り得たことは、関係者のほぼ誰もがと言って良いほど、わが国の現状を「十分ではないこと」と認識しているということであった。その主な問題はおおよそ、教育関係ではセンター化構想を推進するために必要な予算が充足されていない、専門性の維持が困難ということであり、福祉関係では、依拠する制度の改変に翻弄されて、施設経営の困難、支援内容や職員の縮小等があげられた。教育、福祉を問わず、在籍数が他の障害種別と比較して少ないことが、必要な予算の確保を困難にし、さらに専門性の担保を困難にしていると認識しているようであった。一方では、発症数が少ない障害であるからこそ、専門的な支援の必要性を強く感じており、現状に強い不満を持っていた。
 今、改めて考えてみる。わが国はなぜ、望ましい理念の基に行政が行われないのか?なぜ、進んだ諸外国に学び、支援システムを導入できないのか?なぜ、関係機関が不満に思っている現状を打開できないのか?改めて、保健、福祉、教育が連携し、行動する職能団体としての当協会の役割があると考えた。当日は調査結果を踏まえて深く考察したい。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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