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日本点字図書館点字教室では、1960年の開始以来50余年にわたり、中途視覚障がい者を対象に点字学習の支援を行ってきた。この間に、利用者ニーズがどのように変化してきたのかを明らかにするため、1975年から今日までの利用者プロフィールをデータ化し、その分析を試みた。
受講者の受け入れ人数、受講開始時の年齢、手帳等級、受講結果の4点に着目して、変化を辿ったところ、
・近年の点字学習希望者の減少
・受講者全体に占める高年齢層の構成比の増加
・手帳未取得者の受講希望の増加
・「受講年限満期終了」のケースの増加
という傾向が特徴的に明らかになった。
データを分析してみると、高年齢層の増加と「受講年限満期修了」のケースの増加とはリンクしており、点字の習得を目標に据えながら学習機会を生活に取り入れることに重きを置いているという側面が見えてくる。それは更に、手帳未取得の受講者のニーズにも通じていると考える。それらの人々にとって、1週間に1度の点字教室は、点字習得の機会であるにとどまらず、自らのQOLを保持する、あるいは高めるための情報に触れる機会として、位置づけられていることを示している。それはとりもなおさず、情報提供施設における点字教室の特色と言えるのではないだろうか。
上記を踏まえ、1情報提供施設における点字学習支援プログラムが、中途視覚障碍者のQOL向上を援助する社会資源として、リハビリテーション施設や特別支援学校とどのような連携を取りうるのかを考察する。