視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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ポスター発表
東日本大震災における支援活動事例
*千葉 康彦永井 伸幸
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p. 88

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抄録
【はじめに】
 東日本大震災発生後、宮城県立視覚支援学校教育支援相談部の有志が中心となり、卒業生や地域の相談対象者達に対して様々な支援を行った(支援者は、特別休暇を所属長に申請し支援を実施)ので報告する。

【実施内容】
 (1) 近所のスーパーがオープンしだしたが、詳しい情報が分からないため、一緒にスーパーへ買い物に行き必要な物を購入。(2) 自宅の水道、ガスが止まっていて調理ができないため、豚汁を作り自宅へ届ける。(3) 震災後1週間経った頃から、銭湯や郊外の温泉がオープンしだしたが、移動手段がないため同行し入浴。(4) ガイドヘルパー派遣が震災後の混乱でできないため、通院のためのガイドを実施。(5) 避難所で生活している卒業生から、一日中何もしないでいるのが辛く何かお手伝いをしたいとの相談があったので、一緒に避難所の対策本部へ出向き、避難所内でのマッサージ支援を申請し実施。(6) 白杖を必要な方へ配布。(7) 長期にわたる支援が必要な卒業生や、今後見守りが必要な卒業生に関して、地元の大学やNPO法人を紹介し必要な支援を実施してもらう。 (8) 衣類等の提供を視覚支援学校職員へ呼びかけ、集まった衣類等を避難所へ届ける。

【考察】
 被害が甚大でない地域では、自分から物資を入手するために情報を集め行動を起こす必要があるが、視覚障害者の「移動の困難」と「情報障害」が行動の妨げとなってしまう。また、非常時には、通常使えていたサービスが機能しなくなる。それゆえ、平常時は自立していた視覚障害者であっても支援が必要な状態になってしまう。支援者は、「災害直後」に無事であればいいのではなく、「その次の時期」に視覚障害者特有の困難が待ち受けていることを理解しておく必要がある。また、教育機関・訓練機関が、卒業生・元利用者の生活状況の把握に努めることは、支援を必要としている視覚障害者を見つけることにつながると考えられる。
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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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