視覚障害リハビリテーション研究発表大会プログラム・抄録集
第21回視覚障害リハビリテーション研究発表大会
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ポスター発表
東日本大震災後の盲導犬ユーザーへの支援について
*金井 政紀
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p. 89

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抄録

【目的】
 日本盲導犬協会仙台訓練センターは被災地に存在する唯一の盲導犬育成施設である。未曾有の災害で、「どう対応すべきか」が手探りの状況でのユーザー支援となった。今後も起こり得る災害時に備える意味を込めて報告をする。

【経緯】
1)震災発生直後の職員・施設の安否と状況確認
2)ユーザー、ボランティアの安否確認
3)支援計画と支援行動
 センター自体が被災地にあり、安否確認が行えず、他センターや報道機関の協力を得て、震災8日後に被災地全ユーザーの安否確認を終えた。

【支援計画】
1)被災地全ユーザーの訪問
2)ユーザー、盲導犬、歩行状況と環境の確認
3)支援物資の供給
 ガソリンの確保がままならず、訪問地域は徐々に広がった。食料、ドッグフード、水、応急処置薬品などを提供し、歩行状況の確認を行った。

【支援結果】
1)自宅在宅者と自宅外避難者での違い
2)ユーザーの精神面
 自宅在宅者は、周辺環境にも大きな変化は少なかったため、盲導犬歩行に大きな影響を及ぼす状況は少なかったが、余震が続いていたため、単独での外出頻度は減った。自宅外避難者は、環境が変わり、精神的にも不安が高く、単独での外出はほとんど無かった。
 余震のたびに盲導犬が落ち着かないなど、ユーザーの様子を敏感に感じて反応をしている犬はいたが盲導犬作業に著しく支障があるものでは無かった。

【今後について】
 災害の状況や程度によって、盲導犬協会がすぐに支援を行える場合と行えない場合がある。普段から、ユーザーに対して災害への心構えを意識付けすることは出来る。その上でユーザー自身が備えられることは備え、そして何よりも家族、隣人、知人からのサポートは大きな支えとなった。

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© 2012 視覚障害リハビリテーション協会
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