2003 年 13 巻 1 号 p. 21-31
本研究では,テレビゲームの種類による脳活動の違いを検討するため,健常成人9名(男性8名,女性1名,平均25.2歳)が4種類のテレビゲームをしているときの脳血流変化を近赤外分光法(NIRS)を用いて計測した.また比較のために単純な加算作業を行っているときの計測も行った.使用したテレビゲームは,反射型ゲームであるシューティングとリズムアクション,思考型ゲームであるブロック落としとサイコロパズルであった.計測装置として24チャンネルの同時計測が可能なOMM-1080S(島津製作所)を用い,正中前頭部(Fz)を中心とした9cm四方の領域を計測した.
その結果,テレビゲーム中は正中前頭部近傍の広い範囲で血流が減少しており,テレビゲーム中は前頭前野の活動がほとんど生じていないことが示唆された.またプロック落としでは右前頭前部に,加算作業では両側の前頭前部に局所的な活動の増加が認められた.これらはワーキングメモリの活動を反映していると考えられる.