シミュレーション&ゲーミング
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観光寺院経営ゲームを利用したゲーミング・モデル抽象度の考察―モデル記述とプレイヤーとの関係性―
菱山 玲子早川 恵
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2006 年 16 巻 2 号 p. 127-138

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抄録

ビジネスゲームのために設計されるビジネスモデルの抽象化と,現実社会の様相を豊かに伝える表現力の確保というトレードオフを解決する上で,モデルの設計粒度(抽象度)を考慮したゲームデザインが欠かせない.本研究では,粒度の異なる複数の観光寺院経営ゲームをデザインした上で,これらのゲームを同時に統制実験形式により実施した.粒度を抑えたゲームはゲームヘの敷居を低くし分かりやすさの点で優位といえるが,必ずしも分かりやすさの追求のみにこだわることなく,モデルに対する理解がゲームの成績に一定の影響を与える程度の複雑さを有するゲームを,参加者の能力にあわせてデザインし適用することが効果的と考えられる.モデル設計の粒度の違いを考慮しなからモデル理解とゲームの成績との関連性を分析することで,ゲームの設計粒度のコントロールに役立つ情報を得られることから,ゲーム設計段階における粒度のチューニングのための予備試行の過程におけるゲームのデザインテストの必要性を提言する.

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© 2006 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
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