シミュレーション&ゲーミング
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多主体間協議ゲームにおける公正感の研究―廃棄物処理案検討手続きへの住民参加のゲーミングの制作と試行―
玉木 光兼田 敏之
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2006 年 16 巻 2 号 p. 117-125

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抄録

近年,住民参加の分野で公正な手続きの制度設計が求められている.このためには,手続きの公正感の形成要因を明らかにすることが必要である.本研究では事例調査の結果から,手続きの公正感の形成要因として,意見陳述機会,意見反映度,協議結果への満足度という要素に着目した.これらの関係性を明らかにするために,ゲーミングシミュレーションによって架空の自治体におけるステークホルダー間の交渉を再現し,アンケートによって上記の3要素を評価させた.ゲーミングの設計に際しては,学生にとっても容易にプレイできること,実施時間が通常の大学の授業2コマ分に相当する3時間に収まることを念頭に置いた結果的に,学生を対象とした実験によって,手続きの公正感が手続きの内容と協議結果に対する満足度の影響を受けることが明らかになったまた,手続きの内容のうち意見反映度は協議結果に対する満足度に影響するものの,意見陳述機会は影響しないといった,要素間の関係を明らかにすることができた.

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© 2006 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
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