ネット上では,子ども達を巻き込んださまざまなトラブルや事件が頻発している.1990年代後半から,学校現場では子どもたちがネット上で適切な判断や行動を取れるように,情報モラル教育が推進されてきた.そして,2008年に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(通称:青少年インターネット環境整備法)」が成立し,情報モラル教育の普及や子どもたちが安全に安心して利用できるネット環境の整備に関する取組が活発になっている.数年前まで,インターネットに関わる子ども達のトラブルでは,携帯電話がやり玉に挙げられた.しかし,今日,子ども達にとって最も身近なネット端末は,ゲーム機になっている.このことは,これらネットと子ども達に関わる議論の中に,ゲームの開発者や提供者が踏まえておくべき事項が多く含まれていることを意味する.本稿では,さまざまなことに興味や関心を持って学習し成長する「子ども」,子どもをよりよく守り育てたい「保護者」や「学校・教師(教育関係者)」,利益を追及し社会を発展させなければならない「企業(事業者)」,子どもを守り育てる環境を作り出すことと企業や社会の発展を日指す「国(関係各省庁)」の立場の違いに触れながら,上記の取組の概要について述べる.