シミュレーション&ゲーミング
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Print ISSN : 1345-1499
速報
刑事事件についての発言能力を創出する―「裁判員裁判ゲーム小学校高学年版」の開発とその可能性
荒川 歩久保山 力也新井 竜太郎
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2011 年 21 巻 2 号 p. 125-130

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抄録

2009年に裁判員制度が導入されたこともあり,法教育ならびに裁判員教育が注目されている.本研究では,こうした教育に資する目的で,小学生が参加可能な裁判員教育ゲーム,「裁判員裁判ゲーム小学校高学年版」を作成した.ゲームでは,参加者は4人1組になり,難易度の異なる3つのステージにおいてそれぞれ1つの事件を選び,有罪・無罪の判断とその理由を考える.有罪・無罪が混在していても6つ以上の理由が集まり,班として有罪か無罪かを決めることができれば,そのステージはクリアとなる.実際に小学校の1クラスで実施した結果,支障なく実施することができた.このようなゲームを通して参加者は,自分の意見を言語化すること,他者の意見をよく聞くこと,事例に対してルールをあてはめること,当事者の意図と結果にズレが生じていた場合に,責任をどのように判断するか,といった問題について考える機会を得たと思われる.

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© 2011 特定非営利活動法人日本シミュレーション&ゲーミング学会
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