シミュレーション&ゲーミング
Online ISSN : 2434-0472
Print ISSN : 1345-1499
21 巻, 2 号
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一般論文
査読論文
  • 越山 修, 國上 真章, 吉川 厚, 寺野 隆雄
    2011 年 21 巻 2 号 p. 86-95
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    ビジネスゲーム実践は,ビジネスの多様な局面に有効と考えられている.しかし,ビジネスゲームによって学習者にどのような効果があるかの研究はほとんどなされていない.本稿ではビジネスゲーム学習者の行動プロセスを分析する新しい手法を述べる.著者らが設計したパフォーマンスシートを用いた分析手法によりビジネスゲーム学習者の行動プロセスを簡易に分析できる.また改良したパフォーマンスシートを用いたピジネスゲーム実践では以下の結果を示した.1)改良したパフォーマンスシートはプレイヤの意思を検出することが可能となり,行動プロセスの分析が可能となる.2)改良したパフォーマンスシートはビデオ録画やビジネスゲーム入力データを介してのプロトコル分析よりチームやプレイヤの行動プロセスの可視化に利点がある.

  • 滝沢 ほだか, 松田 稔樹
    2011 年 21 巻 2 号 p. 96-104
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    学校教育で扱われていない新たな教育内谷・方法を導入する際,一般の人の意見を調査することがある.しかし,紙面のみで行う意識調査では,未体験の教育に対して,誤った理解の下に回答する可能性もある.この問題を解決するために,音や音楽に関する教育を事例として,ゲームを活用して仮想授業体験させ,意識調査することを試みた.その結果,以下のことが確認された.1)仮想授業体験がない状況では,意識調査結果に不整合がある.2)新たな取り組みの教材を開発し,高校生に授業として体験させたところ,事前・事後の意識調査で,新たな取り組みの必要性が有意に高まった.3)大学生を対象に従来型と新たな取り組みとの両方を仮想授業体験させたところ,新たな取り組みを先に体験した群は高校生と同様の回答傾向が,見られたが,従来型の授業を先に体験した群では体験の前後で大きな変化が見られず,体験順序の影響を考慮した運用の必要性が示唆された.

  • 本巣 芽美, 杉浦 淳吉, 荒川 忠一
    2011 年 21 巻 2 号 p. 105-114
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    風力発電は地球規模での公共利益が期待される一方で,立地地域へは景観破壊や騒音といった局所的な環境影響を引き起こす潜在性があり,近年では地域住民による反対運動がたびたび生じている.そこで本研究では,風力発電の長所と短所に関する情報を用いて,プレーヤが相対的に風力発電の導入について議論することをめざし,説得納得ゲームを用いた科学技術コミュニケーションツールの開発を行った.本研究の結果,以下の知見が得られた.第一に,本ゲーミングによってプレーヤは風力発電の長所への理解を向上させることができた.第二に,風力発電の短所の認識が少ない人ほど短所の理解が高まる傾向があった.第三に,風力発電の短所を認識している人はあまり多くないことが確認された.第四に,プレーヤは立場により風車への評価に違いがあることへの気づきを得ることができた.最後に,個人から集団への意思決定プロセスを体験するシミュレーションツールとして,説得納得ゲームの利用可能性を提示することができた.

  • 野波 寛
    2011 年 21 巻 2 号 p. 115-124
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    正当性(legitimacy)とは,コモンズに対する自他の管理権について,人々が何らかの理由・価値にもとづき評価する承認何能性と定義される.本研究では,多様なアクター間での正当性の相互承認構造に関する実験的検証と,正当性に対する人々の考察を促す訓練ゲームの提供を目的として,‘誰がなぜゲーム(W2G’を提起した.W2Gおよびその改訂版であるW2GIIの実施結果より,コモンズの管理権に関する正当性の評価がアクター聞の討議によって変化することが示され,またゲームの参加者がその変化を認知する教育効果も示唆された.さらにW2GIIの実施結果からは,コモンズへの関与度をもとに各アクターの正当性を評価することについて,討議を通じてアクター間で合意が成立する過程が示された.コモンズ管理のための公共政策をめぐる正当性に関する実験ツール,あるいは自他の権利承認に関する合意形成過程を体感させる教育訓練ゲームとしてのW2Gの発展可能性について論じた.

速報
  • 荒川 歩, 久保山 力也, 新井 竜太郎
    2011 年 21 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2011年
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    2009年に裁判員制度が導入されたこともあり,法教育ならびに裁判員教育が注目されている.本研究では,こうした教育に資する目的で,小学生が参加可能な裁判員教育ゲーム,「裁判員裁判ゲーム小学校高学年版」を作成した.ゲームでは,参加者は4人1組になり,難易度の異なる3つのステージにおいてそれぞれ1つの事件を選び,有罪・無罪の判断とその理由を考える.有罪・無罪が混在していても6つ以上の理由が集まり,班として有罪か無罪かを決めることができれば,そのステージはクリアとなる.実際に小学校の1クラスで実施した結果,支障なく実施することができた.このようなゲームを通して参加者は,自分の意見を言語化すること,他者の意見をよく聞くこと,事例に対してルールをあてはめること,当事者の意図と結果にズレが生じていた場合に,責任をどのように判断するか,といった問題について考える機会を得たと思われる.

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