正当性(legitimacy)とは,コモンズに対する自他の管理権について,人々が何らかの理由・価値にもとづき評価する承認何能性と定義される.本研究では,多様なアクター間での正当性の相互承認構造に関する実験的検証と,正当性に対する人々の考察を促す訓練ゲームの提供を目的として,‘誰がなぜゲーム(W2G’を提起した.W2Gおよびその改訂版であるW2GIIの実施結果より,コモンズの管理権に関する正当性の評価がアクター聞の討議によって変化することが示され,またゲームの参加者がその変化を認知する教育効果も示唆された.さらにW2GIIの実施結果からは,コモンズへの関与度をもとに各アクターの正当性を評価することについて,討議を通じてアクター間で合意が成立する過程が示された.コモンズ管理のための公共政策をめぐる正当性に関する実験ツール,あるいは自他の権利承認に関する合意形成過程を体感させる教育訓練ゲームとしてのW2Gの発展可能性について論じた.