2018 年 28 巻 1 号 p. 12-23
本研究では投影法心理検査の中からロールシャッハ・テストおよび箱庭を用いて,コンピュータゲームに対する親和性とパーソナリティとの関連を調べた.質問紙法調査によって,コンピュータゲーム親和性尺度を作成し,ロールシャッハ・テストの各スコアについて,コンピュータゲーム親和性尺度の高群・低群間の有意差を調べたところ,高群は色彩を伴いかつ形の明確な反応の数が有意に高く,血液反応の数が有意に低かった.このことから,コンピュータゲームへの親和性が高い人は,色彩を手掛かりにイメージを投影する傾向があり,外界に対する情緒的反応が程よい傾向にあることが考えられた.一方で,据え置き型ゲーム機を長時間プレイする人は,現実検討力に課題を抱えやすい傾向も示された.箱庭の結果からは,個性的な創造性に結びついた箱庭はコンピュータゲーム親和性の高群と低群の両方に確認できたが,特に,コンピュータゲーム親和性の高い人が創造性を発揮する際には,退行が生じやすい可能性が示唆された.