抄録
本報告は、労働契約の一環として結婚を再考することを目的としている。結婚をめぐる定義はさまざまな論者が試みてきたが、各社会から反証が可能であったため、リーチによって普遍的定義を目指すこと自体が不可能かつ無意味であると指摘された。しかしながら、再生産労働のグローバル化に伴う女性の越境移動と、それによって誕生したブローカー婚(brokered marriage)は、結婚とはむしろ労働契約の一つに分類すべき関係性であることを提示している。本報告では、報告者が台湾で得られた調査データを元に、結婚という契約の再検討を行う。