抄録
宮城県丸森町の最南端に位置する筆甫地区は、福島県の新地町、相馬市、伊達市と県境を挟んで接している。2011年3月11日の東日本大震災、続く福島第一原発事故により大気中に放出された放射性物質は、筆甫地区にも降り注いだ。従来、東日本大震災後の放射線問題では、福島県が中心であり、宮城県の事例は看過されてきた。本発表では、東日本大震災における宮城県丸森町筆甫地区の被災状況、その後4年間の人々の生活、住民自治組織である筆甫連絡協議会の取り組みについて、福島県との比較を念頭に、報道資料、現地調査資料に基づき、分析・考察を加えていく。