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本報告では、バングラデシュの国民統合とイスラームの問題を、バングラデシュ憲法における国家原則としてのセキュラリズム理念の変遷や、近年の民衆運動におけるイスラームの問題を通して検証する。特に、独立戦争とイスラームをめぐる近年の民衆運動を、インドとパキスタンとをめぐるポストコロニアル的状況の二重拘束という観点から分析することで、これまで二律背反的状況として理解されてきたイスラームと独立運動の精神という二項対立図式を克服し、ひとつの国民文化を形成してゆく過程として捉え直す可能性を検証する。