抄録
本発表の目的は、バングラデシュ西部、スリランカ中部地方のキャンディ地域とクルナーガラ地域、キャンディ県南東のマヒヤンガナ県の土器作り村における男女分業の比較を行い、その違いを生み出した諸要因を明らかにすることである。南アジアでは、「ロクロ成形を担当する男性が土器生産の主体であり、女性は叩き成形の一部や型成形を担当し、どちらかといえば補助的な役割である」点が特徴とされてきた。一方、スリランカ中部地方では、隣接するマヒヤンガナ地域やインド・バングラデシュに比べて「女性が主体的製作者である世帯」の比率が明瞭に高かった。その要因として、生産器種(ロクロ構造に影響)、生産規模(土器の需要)、賃金労働の機会、などがあげられた。