日本文化人類学会研究大会発表要旨集
Online ISSN : 2189-7964
ISSN-L : 2189-7964
日本文化人類学会第49回研究大会
会議情報

日本文化人類学会研究大会発表要旨集
一つの森、二つの話
梼原町の訴訟事件を通してみる森林資源統治の民族誌的研究
権 允義
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. F17-

詳細
抄録
 人々が自然をコントロールし「資源」として活用する営みのなかには、さまざまな権力作用が内包されている。近年の資源統治に関する研究では、フーコーの統治性概念を採用して内在する権力作用を説明しようとする試みが行っている。本発表が対象とするのは、高知県の山村である梼原町における森林資源統治の様相である。具体的には、1968(昭和43)年から1993(平成5)年まで行われた「統合町有地保護交付金請求事件(以下、訴訟)」を取り扱う。旧村の共有林野の所有権が行政町に移転された後、国による人工造林が行われた。その収益金の受領先をめぐる訴訟で、いわゆる「入会」訴訟である。本発表では、この時代的変化の中で行われた国と町レベルの政策を地域社会がいかに抵抗し、受容してきたのかを明らかにする。さらに、村落共同体の内部に起こる衝突を解決するため、多様な主体が取った行動を政治的行為として把握し、訴訟当時から現在まで地域社会に与えた影響を考察する。森林資源への統治がコミュニティーの構成員まで浸透するなかで、権力はいかに作動してきたのか明らかにすることを試みる。
著者関連情報
© 2015 著作権は日本文化人類学会に帰属します。
前の記事 次の記事
feedback
Top