抄録
今村仁司は労働観を論じる際に、書屋人の技能的な「喜び」[今村 1998]を除外しているが、本発表はこれを労働観の重要な要素として扱う。事例に見るジャワ島中部のバティック生産に従事する賃労働者の女性たちは、どのような「作ること」を経験しているのであろうか。本発表は「喜び」の定義とその分析を行ううのではなく、技能を用いて作業をすることの意味に焦点を当て、ティム・インゴルドの「メイキング」(つくること)[Ingold 2013]を参照し、労働者たち自身の「メイキング」の意味を取り巻く現代的状況を明らかにし、作ることの性質を考察する。