場の科学
Online ISSN : 2434-3766
日本における食品添加物規制の現状と課題
「アスパルテーム」の事例に基づく法政策学および政策決定の観点から
中山 敬太
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 3 巻 2 号 p. 51-73

詳細
抄録
本稿では、食品添加物の一種で人工甘味料である「アスパルテーム」を事例として取り上げ、日本における食品添加物規制の現状を把握しレビューした上で、関連する諸外国の動向や先行研究等を踏まえて、「発がん性」や「生殖遺伝毒性」に関するリスク認知の「誤謬」と食品添加物等に対する各種基準値設定をめぐるアプローチとその効果の「誤謬」が 存在していることを示し、その本質的な課題について明らかにした。また、この課題を踏まえ、今後の日本における食品添加物規制のあり方に対して、「未然防止原則」と「予防原則」の観点からの検討を行い、その上で法政策学やリスク行政および不確実性行政に伴う政策決定の観点から、先行研究で示されている「リスク・トレードオフの類型化」(枠組み)に、「因果関係」と「相関関係」をめぐる「エビデンス」の境界線(閾値)とその不確実性の関係性を加え検討することによって新たな視座(政策的示唆)になり得る可能性を示した。
著者関連情報
© 2023 協創&競争サステナビリティ学会
前の記事
feedback
Top