抄録
生成AI時代の特許実務において、人間の「洞察力」が極めて重要である。知財実務者が行う知財プロセスは、①第1レイヤー(発明創出・課題解決層)、②第2レイヤー(出願人・事業戦略層)、③第3レイヤー(ステークホルダー層)の3つのレイヤーで構成される。AIは第1レイヤーにおける既存技術の新たな組み合わせの提案を得意とするが、文脈や暗黙知を要する上位レイヤーでの意思決定には対応が困難である。そして、洞察力は「知の幅×知の深さ×知の経験」と定義され、個人や個人の集合体である組織体のナラティブや実体験に基づく「知の経験」はAIに代替できない人間固有のものである。AIのアウトプットは不洞察・非洞察・未洞察に過ぎず、評価する人間の洞察力によって初めて価値を持つ。