抄録
背景:起床時の疲労感は、ありふれた愁訴であるものの、これまで喫煙と起床時の疲労感との関係については報告されていない。今回、勤労者における起床時の疲労感に焦点をあて、喫煙との関係について検討した。
目的:本研究は、勤労者の男性において、喫煙が起床時の疲労感と関連があるかどうかについての検討を目的とする。
方法:健康質問票を首都圏5社に勤務する270人に配布した。質問票の回答より、起床時の疲労感を従属変数とし、喫煙状況、仕事での精神的負担、仕事での身体的負担、1ヶ月の時間外労働、企業、年齢を独立変数としたロジスティック回帰分析を行い、オッズ比およびその95%信頼区間を算出した。
結論:今回使用した健康質問票は、主観的な評価であり、起床時の疲労感は特異的な症状ではないが、喫煙者では、起床時の疲労感がある者の割合が有意に多かった。喫煙者の起床時の疲労感は、勤務状況も含めた健康影響のほか、過去の報告からCOPDによる健康影響の可能性が考えられた。