発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
Print ISSN : 0387-9682
医学的側面からみた知的障害者の高齢化
竹内 千仙
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2020 年 42 巻 3 号 p. 181-187

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抄録
知的障害とは1つの疾患ではなく,さまざまな原因による異なる状態の総称である.その原因により症状や自然歴は多彩で,個人差が非常に大きい.「健康な」軽度の知的障害者では,その余命は一般の人々とほぼ変わらないとされている.しかし知的障害者では,高齢化により有意に併存疾患が増え,精神疾患や認知症も多くなり,多疾患併存とよばれる状態となりやすい.さらに原疾患の合併症,知的障害の程度,ヘルスリテラシーの低さ,コミュニケーションの障害等が複雑に関係し,併存疾患があった場合の死亡リスクが高く,その寿命は有意に短い.さらに近年,知的障害者では適切な医療が受けらないことによる「防ぎえた死」が,多く存在することも明らかとなった.これらは生活のさまざまな場面における,医療への障壁が存在することを意味する.知的障害者における健康な高齢化を実現するための,包括的ケアへの取組みが必要である.
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© 2020 日本発達障害学会
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