発達障害研究
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最新号
障がいがある子どもと家庭を地域で支える切れ目ない支援の実現に向けて
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 竹之内 章代
    2024 年45 巻4 号 p. 273-280
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    障がいがある子どもへの支援は 2012 年の改正により,あらためて児童福祉法のなかに位置づけられた.障がいがあることの前に,子どもであることが重視され,発達期にある子どもたちへの支援が身近な地域で受けられるよう整備されてきた.そのなかでも特に通所支援については, 事業所数の伸びとともに,その専門性が薄れ,発達期にある子どもたちの発達保障を支える環境に なっていないことが指摘された.本稿では,障害児通所支援のあり方報告に示された課題について確認するとともに,今後のあり方について検討をしていきたい.
  • 療育支援システム・子育て世代包括支援センターとの仕事
    小林 紀代
    2024 年45 巻4 号 p. 281-290
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    市町村福祉行政における障害児者福祉,児童福祉の社会福祉制度は,目まぐるしく変化してきており,特に 2012 年の児童福祉法改正により,障がい児の療育は,都道府県が行う「児童通園施設」の措置から市町村が「障害児通所受給者証」を交付・支給決定する「児童発達支援」や「放課後デイサービス」といったサービス利用のしくみとなった.地域生活のなかで発達支援が必要な子どもの育ちを支えるためには,多機関が連携して支援するしくみが必要であり,その重要性が増している.本稿では,筆者の所属する A 市の取組み状況を事例として,地域療育システムを構築していった経緯をふまえ,市町村で実施されている乳幼児期の発達支援や療育にかかわる各関係機関の機能と連携のしくみについて明らかにし,障がい児支援の実際について実践報告を行うものである.
  • 三浦 剛
    2024 年45 巻4 号 p. 291-298
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    障害がある子,発達に心配がある子たちの発達を保障するためには,高い専門性をもった療育支援が必要である。そしてまた,その支援は地域,家庭と言う,子どもにとってあたりまえの生活,成長していく場面でなされなくてはならない。そのためには支援をシステムとして行わなくてはならない。システムとは,要素である各支援機関が相互に関連しながら,トータルとして子どものライフステージの変化,生活の場や学ぶ場の変化に対応するためのしくみである。ここでは筆者が構築,運営にかかわってきたいくつかの地域療育システムを例に,子どもたちへの発達支援を考える。
  • 中村 知夫
    2024 年45 巻4 号 p. 299-309
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    少子化のなかで、健康・生命・生活の維持のために日常的に医療的ケアを必要としている子ども(医療的ケア児)が約2万人と急速に増加してきている。これらの子どもとその家族が、住み慣れた地域でのなかで安心して暮らし続けられるためのさまざまな支援と地域づくりが、日本だけでなく世界中で急務となっている。わが国でも、令和3年に医療的ケア児支援法が制定され、医療的ケア児への支援は国や自治体の責務となり、「医療的ケア児支援センター」を中心に、どこに住んでいても、子どもと家族が地域で安心して暮らすためのこれまで以上のさまざまな取組みが求められているが、まだまだ多くの自治体が暗中模索の状態である。医療の深いつながりが必要な医療的ケア児の支援において、医療者の役割は非常に大きい。地域連携,成人移行を見据え、小児科の医師と成人の医師との同職種連携とともに、保育、教育、障害福祉等との多職種間の理解と、協働が今求められている。
  • 保護者支援・きょうだい支援の立場から
    阿部 美穂子
    2024 年45 巻4 号 p. 310-319
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    改正児童福祉法においては,児童発達支援センターが果たす中核的役割・機能の 1 つとして,家族支援機能が明記された.家族支援については,従来の親に対する望ましい養育者役割獲得のための支援から,「家族生活の安定を基本に置いた丁寧な支援」の重視へと転換が図られ,親の心理的エンパワメントや,きょうだいへの支援の必要性も指摘されている.そこで,本稿では,家族としての生活の質(家族 QOL)の充実の視座から家族の支援ニーズをとらえ,特にきょうだいへの支援を軸に家族支援の要点を検討した.その結果,先行研究で得られた成果をふまえ,1きょうだいの家族内での子ども役割の選択保障,2家族メンバーの自己および家族理解と意思決定の促進,3支え合う仲間づくり,4きょうだいと親のコミュニケーション促進,6周囲の人々への理解啓発が見出された.家族支援の実践にあたっては,児童発達支援センターの強みを生かした,家族の「喜び」を最優先する展開が期待される.
  • 保育者がすでに有している保育の力を基盤とした個別の支援技術・ 知識の獲得を目的として
    小池 由香里, 岡村 章司
    2024 年45 巻4 号 p. 320-331
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,市内公立保育所・こども園の全保育者に対し個別の支援に関する技術・知識の獲得のための単回の研修を実施し,その効果の検討を目的とした.あわせて,保育者のすでに獲得している/今後獲得すべき技術・知識を精査した.研修では,応用行動分析の枠組みを用いて保育場面をもとにした適切な行動の形成に関する内容を扱った.その結果,分析対象者 189 名分において技術と知識のいずれの評価も有意に上昇した.称賛や一斉保育のなかでの環境調整を行うことは保育者のすでに有している技術・知識であり,一方で子どもの個別性に応じたかかわりが課題であることが示された.また,研修後に実施した施設長を対象にしたアンケートでは,ケース会議の実施や情報共有の促進等,全保育者が同じ研修を受けたことによる施設内での肯定的な変化が報告された.今後,保育者の技術や知識のアセスメントに基づく介入の必要性が示唆された.
  • 東京都内の児童発達支援事業所等の職員へのアンケート調査から
    望月 太敦, 小澤 温
    2024 年45 巻4 号 p. 332-345
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,未就学の重症心身障害児(以下,重症児)と地域の健常児の交流実態を明らかにすることである.調査対象は,都内児童発達支援事業所等全 521 か所とし,質問紙は 5 件法による設問と自由記述を設けた.結果,142 か所(回収率 27.3 %)の回答が得られた.重症児を受け入れ可とした 47 事業所のうち,交流があったのは全体の 22.5 %であり,多くの事業所で交流はなく,今後も考えていないことが示された.自由記述分析では,7 つのクラスターを抽出した. 交流が少ない背景として,重症児の体調不安や保護者の意向,地域との関係構築の難しさが明らかになり,さらに,感染症対策の観点からも,事業所は重症児と健常児の交流に取り組みにくいことが推察された.重症児と健常児が交流するためには,支援者の工夫や交流ができる場の整備が必要であり,個々の重症児の発達につながる教育の観点から重症児施策を見直す必要性が示唆された.
  • A 県における質問紙調査から
    平澤 紀子, 篠原 清昭, 吉澤 寛之, 出口 和宏, 芥川 祐征
    2024 年45 巻4 号 p. 346-358
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,A 県公立小中学校長 532 名への質問紙調査をもとに校長が特別支援教育を推進するために必要な力量について検討した.有効回答 436 名(回収率 82 %)で,校長が特別支援教育を推進できているととらえている程度は 10 点中平均 7 点で,その推進状況に校内のリソースや特別支援教育コーディネーターの特別支援学校教諭免許状の保有,校長自身の経験等の関連が見られた.校長が重視していることの検証的因子分析結果は学校経営に必要な力量において特別支援教育の推進を想定した 6 因子モデル(ビジョン・経営計画,人事,組織運営,人材育成,外部連携, 教育推進)に適合した.特に重視,実施している力量の因子は担任の支援体制を中心とした組織運営であり,外部連携やビジョン・経営計画は低かった.校長には自校の条件において校内体制を実質化するマネジメント力が必要であることが示唆され,その育成策を言及した.
  • 言語障害通級指導教室に通う小学生との比較
    武部 正明, 藤野 博, 日戸 由刈
    2024 年45 巻4 号 p. 359-376
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,まず発達障害のある小学生・中学生が通う情緒通級の教師を対象に,言語障害や難聴等のある小学生が通う言語通級の教師を比較対象として,各通級での指導の優先順位を調べるため,「自立活動」が定める 6 つの区分を用いた調査を行った.次に,各通級に通う小学生群・ 中学生群の適応行動について教師による評価を行った.その結果,指導の優先順位は両通級とも共通して「心理的な安定」「人間関係の形成」「コミュニケーション」が高く,「健康の保持」「環境の把握」「身体の動き」は低いという結果であった.一方,適応行動の評価は,情緒通級に通う小学 生高学年および中学生は社会性やコミュニケーション領域と同等に日常生活スキル領域にも課題があると教師が見立てていることが明らかとなり,日常生活スキル領域に相当する「健康の保持」の指導の必要性が確認された.本結果は,今後の指導のあり方を検討する基礎資料になると考えられ る.
  • Total Physical Response を用いた第二言語習得の検討
    吉田 史人, 青山 眞二
    2024 年45 巻4 号 p. 377-387
    発行日: 2024/02/29
    公開日: 2025/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,知的障害特別支援学校高等部の生徒を分析対象とし,英語学習による英単語や英文の理解の程度を量的研究によって検討した.本研究の研究協力者は,知的障害特別支援学校高等部に通う生徒 20 名であった.英語学習においては Total Physical Response を用いた.研究協力者の英単語や英文の理解の程度を調査するため,教師からの英語による指示に対する行動の達成率をプレテスト・ポストテスト・1 週間後の確認テストに分けて調査した.Steel-Dwass 検定の結果, 新しく学習した英単語や英文の達成率にプレテスト対ポストテスト,プレテスト対 1 週間後の確認テストで有意な差が見られた.結果として,Total Physical Response を用いた英語学習は,知的障害のある特別支援学校高等部の生徒にとって,英単語や英文の理解に有効な学習方略である可能 性が示された.
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