発達障害研究
Online ISSN : 2758-9048
Print ISSN : 0387-9682
実践誌の分析からとらえた各教科等を合わせた指導の課題と対応方策の検討
─全特連機関誌「特別支援教育研究」における20年間の特集企画等をふまえて─
菊地 一文
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2022 年 44 巻 3 号 p. 215-227

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抄録

全特連機関誌「特別支援教育研究」の過去20年間240巻のうち,「各教科等を合わせた指導」「教科別の指導」等に関する特集の論説等を概観し,その課題と対応方策について検討した. 2002~2011年度までを前期,2012~2021年度までを後期として比較した結果,該当する特集および論説等の件数は1.7倍に増加していた.これらの意義や本質的な視点は前後期で共通しつつも, 前期は「特殊教育」から「特別支援教育」への転換を受け,主に知的障害教育の独自性・本質性をふまえた論調が確認された.また,後期は「インクルーシブ教育システム」構築の流れを受け,独自性をとらえつつも,学びの場の連続性や指導内容等の系統性を共通言語で説明する必要性やカリ キュラム・マネジメントに見る教育課程意識の高まりが確認された.以上のことから,知的障害教育の本質をふまえた,教育課程に関する実践研究の推進の必要性を指摘した.

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© 2022 日本発達障害学会
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