災害情報
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Print ISSN : 1348-3609
[論文]
洪水ハザードマップにおける情報表現のわかりやすさに関する認知心理学的検討
田中 孝治北川 悠一堀 雅洋
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2014 年 12 巻 p. 88-99

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抄録

洪水ハザードマップとは、浸水が想定される区域やその深さなどの浸水情報および避難に関する情報を住民にわかりやすく提供することにより人的被害を最小限に抑えることを主な目的として作成されるものである。国土交通省による「洪水ハザードマップ作成の手引き(改定版)」では、第二世代の実践的洪水ハザードマップには「住民の的確な避難行動につながるよう、必要かつわかりやすい情報を表示・記載」することが求められるとしている。

本研究では、洪水ハザードマップのわかりやすさについて認知心理学的観点から考察を加えるために、各都道府県の県庁所在地および政令指定都市の51部(調査1)に、大阪府下市町村の33部(調査2)を加えた計84部(うち2部重複)の洪水ハザードマップを調査した。その結果に基づき、ハザードマップのわかりやすさを阻害する要因として、1) 記載項目の情報量が多いこと(情報過多)、2) 同等の意味を有するものであっても地図上に記載される凡例記号が自治体ごとに異なる場合が多いこと(非共通性)、を論点として取り上げた。さらに、表現方法をわかりやすくするために考慮すべき点として、1) 利用者が持つメンタルモデル、2) 色の持つ文化的意味、3) 文字の使用に着目し考察を加えた。

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© 2014 日本災害情報学会
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