2015 年 13 巻 p. 87-95
本稿では、東日本大震災の時に緊急地震速報の情報がうまく伝わらなかったという反省のもとに、緊急地震速報をどのように自動放送したら良いかを提案し、提案した方法を実装した自動放送装置を開発して学内の複数の既存放送装置に接続して運用し改善した結果について報告する。
現在、気象庁が発表している緊急地震速報は、一つの地震に対して何度も改訂して情報が出し直されるという特徴がある。一度警報が出された後でも、次々と改訂した情報が出されており、その中には、警報を出した時の震源情報が訂正されたことや、地震の規模が徐々に巨大化して警報を出した時よりも大きな地震になったことなどの重要な情報が含まれている場合がある。我々は、後続の情報からそのような重要な情報を自動的に判断して適切に放送しなおす具体的な方法として、予想震度と推定マグニチュードの2つの放送制御マトリクスを、放送開始条件としては、通常の地震における放送開始条件と巨大地震が発生した時の放送開始条件の2つを提案して、それらの方法を実装した緊急地震速報の自動放送装置を開発して既存の学内放送設備に接続して約2年半の間運用してきた。運用しながら改善を進めているが、受信側だけでは改善には限界があることも見えてきた。