昨年(2016年)4月の熊本地震では、M6を超える地震が3回発生し、うち2回は最大震度7を観測し、地表の広い範囲で断層変位も現れた。地震による被害は甚大で、多くの建物等の被災に加え、大規模な土砂災害も発生した。地震活動は極めて活発で、地震が続発する中、多くの方が避難し、避難所の運営や「災害関連死」等の課題が見られた。今回の特集号では、どのような地震が発生し、どのような被害を生じたのか、災害情報はどのように活用されたのか、防災に対する住民の意識はどうなのか、被災者の避難生活や被災者支援の課題と対策は、などについて、それぞれの視点から論じて頂くこととした。また、本稿では、特集号の巻頭として、地震活動と被害の状況等について概観し、今回の地震から学ぶ地震災害の防止・軽減の基本的な事項について述べる。