災害情報
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福島第一原発事故における地方紙の言説構造―『福島民報』と『読売新聞』の比較から―
矢内 真理子
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2018 年 16 巻 2 号 p. 199-208

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抄録

本研究は、福島第一原子力発電所事故直後の報道から、地方紙における原発事故に関する言説がどのように作られているかを明らかにすることを目的とした。福島県の地方紙『福島民報』と、全国紙『読売新聞』の2011年3月12日から1週間の記事を対象に比較を行った。フェアクラフ(2012)の批判的ディスコース分析の方法を援用し、両紙の記事に用いられる受身文を比較した。『福島民報』における原発事故の表象は人災として描かれているのか、あるいは天災として描かれているのか、地域住民と政府や東京電力との関係性がどのように表象されているのか、また、その傾向は地方紙特有のものなのかを明らかにした。

その結果、『福島民報』の原発事故における地域住民の言説は、天災とみなす表象と人災とみなす表象の両方が存在していることがわかった。その中でも8割を超えた受身文で、影響を及ぼした存在が直接描かれない表象の仕方がされており、原発事故の影響で起こったことが、ひとりでに起きたこととして表象されていることがわかった。しかしながら『福島民報』の読者である地域住民は福島原発についてある程度の身近さがあると考えられ、政府や東電の存在をあえて書かずとも影響を及ぼした存在について推測することは可能であるとも言える。相反する2つの読み方が可能な言論空間を作ることで、『福島民報』がより多くの県民の考えや心情を包括した紙面を作ろうとしていたと結論付けられる。

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