災害情報
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[論文]
全国ならびに都道府県別の洪水浸水想定区域の人口の推移
秦 康範前田 真孝
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2020 年 18 巻 1 号 p. 107-114

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抄録

我が国は2008年をピークに人口減少局面に入っており、長期的な人口減少社会を迎えている。本研究では、洪水による浸水リスクに着目し、全国ならびに都道府県別の浸水想定区域内外の人口および世帯数を算出し、1995年以降の推移とその特徴について考察することを目的とする。

対象地域は全国の都道府県で、使用するデータは500mメッシュの国勢調査(1995年~2015年の5年分)と国土数値情報浸水想定区域データである。地理情報システムを用いた解析の結果、浸水想定区域内人口および世帯数は、1995年以降一貫して増加しており、区域内人口は1995年(33,897,404人)から2015年(35,391,931人)までに1,494,527人増加し、区域内世帯数は1995年(12,165,187世帯)から2015年(15,225,006世帯)までに3,059,819世帯増加していることが示された。都道府県別の浸水想定区域内の人口および世帯数は、1995年を基準とすると、2015年において浸水想定区域内人口は30都道府県が、浸水想定区域内世帯数は47都道府県が、増加していることが示された。区域内人口が減少している地域を含め区域内世帯数が大きく増加しているのは、浸水リスクの高い地域の宅地化が進んでいるためと考えられる。

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