災害情報
Online ISSN : 2433-7382
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[論文]
火山のハザードマップからの情報読み取りとそれに対する表現方法の効果
村越 真小山 真人
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2006 年 4 巻 p. 40-49

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抄録

本研究の目的は、ハザードマップの読み取りに対する表現方法の効果を検討することである。61名の中学生と46名の大学生の被験者に富士山防災マップの試作版が与えられ、その地域の住民として緊急火山情報が発令されたことを想定した行動を、防災マップを参照して回答することが求められた。研究1では参照する地図として、PC上の地図と通常の紙地図によるハザードマップの比較、通常のハザードマップと地図情報を抜いたハザード情報の比較がなされた。その結果、地図がハザード情報に関する関心を高めるものの、中学生・大学生ともに地図情報を十分利用できていないことが確認された。また、PC地図は中学生から、紙地図は大学生からの評価が高かった。研究2では、別の64人の中学生と31人の大学生を被験者に、通常と鳥瞰図を使ったハザードマップ条件からの読み取りを比較した。鳥瞰図はハザードマップへの印象を高めるが、実質的な効果はなかった。2つの研究結果から現在のハザードマップの形式に関する問題点と、改善・検討の方向性が示唆された。

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© 2006 日本災害情報学会
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