災害情報
Online ISSN : 2433-7382
Print ISSN : 1348-3609
特集 近年の災害多発は、わが国の防災をどう変えたのか?
災害時におけるICT活用のあり方
―情報ボランティアの観点から―
干川 剛史
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2006 年 4 巻 p. 29-39

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抄録

1995年に発生した阪神・淡路大震災ではじめて、情報ボランティアによる情報支援活動が展開され、災害時の情報発信・共有手段としてインターネットやパソコン通信などのICT(Information Communication Technology: 情報通信技術)が役に立つことが分かった。それ以降、政府や地方自治体がICTを活用した災害情報ネットワークの整備を進め、1998年に発生した'98高知豪雨水害の頃から行政機関によりICTが有効に活用されるようになってきた。その一方で、情報ボランティアによる情報支援活動もインターネット利用者の急速な増加に伴って、2000年に発生した「有珠山噴火災害」から飛躍的な展開を遂げるようになった。

そこで、本稿では、まず、1. 阪神・淡路大震災当時のパソコン通信やインターネットなどのICTの普及状況を踏まえた上で、情報ボランティア活動の実態とそこから明らかになった災害時のボランティアを中心とするICT活用の課題を示す。そして、それ以降の災害で、その課題がどれだけ達成されるようになったのかを、2. 日本海重油流出事故、3. 三宅島噴火災害、4. 新潟県中越地震を事例として検証してみたい。そして、最後に、5. 災害情報支援活動を効果的に行うために、ICTを活用した広域災害情報共有システムの構築が必要であることを示し、その有効かつ効果的な運用方法について考察する。

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© 2006 日本災害情報学会
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