2008 年 6 巻 p. 89-94
災害時における道路情報共有は、迅速で効果的な災害対応のために必須であり、従来から重要な課題となっている。しかし、情報通信技術が飛躍的に発展した今日においてもこの課題は依然として解決されていない。そこで本研究では、道路情報の共有の現状と課題を整理した結果に基づき、迅速に道路情報を収集するための一手段としてプローブカー情報の共有を提案した。
プローブカー軌跡から得られる通行可能な道路の情報の収集と、プローブカーにより収集された道路閉塞情報の共有がもたらす旅行時間の短縮に着目し、渋滞を考慮しない基礎的なシミュレーションを行った。その結果、情報の提供者である車両は、道路閉塞情報の共有により旅行時間の短縮を図ることができ、情報を収集する側は、広域の道路情報を面的に把握できる可能性が示された。
通行可能な路線への一般車両の集中に配慮しつつ、道路管理者、警察、消防やライフライン事業者などの防災関係機関がプローブカー情報を共有することにより、災害時における迅速な道路状況の把握とそれに基づく災害対応が可能となることが期待される。