2011 年 9 巻 p. 137-147
本論文は、阪神・淡路大震災の「直接体験がない」学生たちが、震災時や復興過程で撮影された震災写真の撮影者、被写体となった人、当時の関係者に対する「取材」を通して、「あの時」何が起こったのかを調べる防災教育-阪神淡路大震災[写真調べ学習]プロジェクト-について考察したものである。筆者らはこれまで様々な「災害経験」の学びや「防災教育」をコーディネートしてきた。そしてその中で、(1)災害時の「多面性」を学習者が認識できるようプログラムをコーディネートすること、(2)災害時に何が起きどう対応したかという教訓をただ伝達するのではなく、学習者自身が能動的に考え、悩む、学びの「プロセス」を準備すること、(3)それらの学びを教える者が一人ですべて担うのではなく、「ネットワーク」を使って実現をすること、(4)教育する人、学ぶ人という2項対立を越えて両者が共に「学びあう」場を設けることが重要と考えている。本論文で取り上げる調べ学習の事例も、この4つの重要な要素に支えられ実現しており、具体的に、4つの要素がどのように調べ学習に組み込まれていたのか、またどのように調べ学習をサポートしているのかについて分析していく。最後に、上記4つの要素に加えて、調べ学習の成果を直接の学習者とは別の人々に「語り継ぐ」ことも、防災教育上重要であることを指摘した。