抄録
本稿の目標は南海トラフ地震発生時の犠牲を減少させる方策の一つを提示するものである。
実際に発生した2015年徳島県南部地震の調査や、その後の徳島県牟岐町での調査事例で、緊急地震速報が人々の間で、特に大人で十分に理解され活用されていないことが分かった。もし、緊急地震速報により、適切に身を守る行動を取ることができれば、南海トラフ地震による人的被害を軽減できると考えられる。そこで、徳島県内で防災教育に取り組む小学校に緊急地震速報の活用方法を提案し、小学校の運動会で種目の一つとして実施した。その結果、地元の自主防災組織も一緒に取り組み、保護者も含めた大人も子供も参加して地震波の仕組みや南海トラフ地震時の対応について理解できた。地域と学校が一体になって取り組む防災教材として成果があったと考えられる。さらにカウントダウン方式の緊急地震速報機器を導入している学校での地震への対応状況で児童が身を守る行動を取っていることも確認できた。今後南海トラフ地震の発生を視野に入れると、実際の地震時に緊急地震速報が活用できるかどうかは児童生徒と大人のその理解と活用にかかっていると考える。