抄録
本研究では、アクティブ・ラーニング型授業の技法の一つである「看図アプローチ」を防災教育に適用し、その教育的な効果を確認するため、東日本大震災の被災地の写真を用いた看図作文づくりの授業を、兵庫県神戸市内の高校1年生に対して行った。その結果、看図作文づくりを体験することにより、「思考力」や「表現力」の必要性に気づかせたり、さまざまな「感じ方」があることに気づかせたりする効果があることを確認した。さらに、被災者が写っている写真(ビジュアルテキスト)を用いた看図作文づくりを体験することにより、その被災者の視点で物事を考えることを通じて、防災を「他人事」としてではなく、「自分事」として捉える意識を醸成する効果も期待できる可能性が示唆された。