日本シミュレーション医療教育学会雑誌
Online ISSN : 2436-4452
Print ISSN : 2187-9281
原著
看護シミュレーション教育におけるファシリテーターの成長プロセス
内海 桃絵内藤 知佐子任 和子谷口 初美
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2022 年 10 巻 p. 24-31

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抄録

目的:看護シミュレーション教育のファシリテーターの成長のプロセスを明らかにする。方法:質的帰納的研究デザインを用いた。対象は看護シミュレーション教育のファシリテーター経験がある看護師で、2020年8~9月に Webインタビューを行った。データ分析は逐語録から重要発言を抽出、コード化し、相違点、共通点について比較、分類し、集まったものの共通性を見出してカテゴリー化した。所属施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。結果:研究参加者は12名で、看護師平均経験年数は25 ± 10年、ファシリテーター平均経験年数は 8 ± 4年であった。データ分析の結果30のテーマから 9 のサブカテゴリー、4 のカテゴリーが得られた。4 つのカテゴリーは、【仲間との実践と振り返り】【自分らしいファシリテーター役割の実践】【自律的なシミュレーション教育拡充に向けた取り組み】【ファシリテーター役割の内面化と応用】であった。結論:対象者は、機会を逃さずに実践を繰り返し、指導者から継続的な支援を受け、仲間との内省を行っていた。それにより、ファシリテーター役割を概念化し、さらにファシリテーションスキルを日常看護業務における新人看護師指導に役立てるなど応用もしていた。ファシリテーター支援には、基本的なスキルを教授するととともに、お互いに支えあえるコミュニティの形成が必要である。

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© 2022 日本シミュレーション医療教育学会
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