日本シミュレーション医療教育学会雑誌
Online ISSN : 2436-4452
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研究報告
  • ―看護基礎教育における導入テーマとしての考察―
    高島 真美, 中野 文乃, 山本 加奈子
    原稿種別: 研究報告
    2025 年13 巻 論文ID: 2025-13-01
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル 認証あり
    本研究の目的は、療養環境の整備が看護基礎教育におけるシミュレーション教育の導入テーマとして適切であるかを考察することである。新型コロナウイルス感染症の影響により看護技術を対面で学ぶ演習機会が限られてしまった看護学部2年次生8名の、シミュレーション演習の振り返り記録を分析した。シミュレーション演習は病床環境を再現した演習室にて実施され、1ブースあたり学生6名×3グループ、教員1名の配置であった。教員は、進行役及び患者役を行い、ブースごとに合計140分間のシミュレーションを進行した。振り返り記録の分析の結果、学生は療養環境の整備のシチュエーション・ベースド・トレーニングを通して、療養環境を整えるだけではなく、患者がおかれている環境の意味付けをしたり、その環境で過ごす患者の身体面・精神面に目を向けて患者を観察したりしていた。さらに、観察した内容から患者の状態や認識、価値観などを洞察していたことも明らかとなった。このような観察と洞察は、すべての看護技術の土台として求められるものである。この学習効果に加え、療養環境の整備は、緊張度の低い技術であるという特徴から、看護基礎教育におけるシミュレーション教育の導入テーマとして適していることが示唆された。
実践報告
  • 駒澤 伸泰, 横平 政直
    2025 年13 巻 論文ID: 2025-13-02
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル 認証あり
    医学生が、継続的変化が続く地域医療に対応できるスキルを修得するためには、学修者である彼ら自身が「学修目標」を明確に認識し、「学修方法」を研磨する必要性がある。今回、本学 3 年次医学生の医科学研究において、「地域医療教育カリキュラム作成シミュレーション」を行ったので報告する。事前学修として地域医療や医学教育モデル・コア・カリキュラムに関する知識を得た。次に、さぬき市民病院、坂出市立病院、三豊総合病院、綾上診療所の4病院における島嶼部や山間部を含む地域の訪問診療や巡回診療におけるフィールドリサーチを行った。その後、地域医療における医療面接、離島医療、診療参加型臨床実習に関するカリキュラム作成シミュレーションを施行した。シミュレーション後の医学生からは地域医療に対する理解が深まっただけではなく、自ら学修目標を省察する意義を感じたという肯定的意見があった。医学生自らがカリキュラム作成を経験することは、彼ら自己調整学習力を高め、学修効果を増加させることができる可能性がある。
  • 辻井 左恵, 栩野 吉弘, 奥 幸子, 岡田 明子, 首藤 太一
    2025 年13 巻 論文ID: 2025-13-04
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル 認証あり
    背景:屋根瓦式教育では、学修者の有用性は示されているが、指導者への効果を示す報告は多くない。本研究では、屋根瓦式の指導体制を活用したシミュレーション医学実習の指導者への効果を検討した。 方法:スキルスシミュレーションセンターでの本学医学部 4 年生の「臨床スターター実習」に指導者として参加した本学卒業の 2年次研修医(本学 R2)、他学卒業の 2 年次研修医(他学 R2)、本学医学部医学科 6 年生(M6)にアンケート調査を実施した。アンケートの内容は、実習に向けた事前準備ならびに自身の学びや有用性とした。 結果:事前準備は 52%の指導者が行っており、本学 R2・他学 R2 に比べ M6 の事前準備を行っている割合が高かった(本学 R2:44%、他学 R2:45%、M6:72%)。事前準備は、苦手な手技がより割合が高く、本学 R2 は他学 R2 と比較して、臨床実習前OSCE の学修・評価項目を意識している割合が高かった。指導の際に自分自身の学びや有用性が「あった」「どちらかと言えばあった」と回答した割合の合計はそれぞれ 91%と 96%と高かった。自由記載では、有用性は指導者自身の「学び」によって評価されていた。 考察:4 年生の臨床手技の実習では、研修医と 6 年生が指導することの効果は高く、「教えることは学ぶこと(Teaching is learning)」が強く示唆された。指導は、事前準備としての学びの動機付けに有効であり、指導者自身の学びの評価基準は、主に自身の手技のスキルアップにあると考えられる。
  • 小川 清楓, 大場 健司, 柘植 祥吾, 市川 美智華, 小野 直子, 會田 ことみ, 梅村 和夫, 五十嵐 寛
    2025 年13 巻 論文ID: 2025-13-05
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル 認証あり
    近年、シミュレーション教育の重要性が高まる一方で、24 時間 365 日利用可能なシミュレーションセンターが学生の技能教育に与える影響については、十分に検討されていない。本研究では、2022 年度に本学医学部医学科 4 年生であった学生が、4~ 5 年次の 2 年間に記録した 799 件の利用データを後方視的に分析し、さらに利用経験や利用目的に関するアンケート調査を実施した。利用記録の解析の結果、客観的臨床能力試験(objective structured clinical examination: OSCE)直前の 2 か月間に利用者数が増加し、OSCE との関連が強い機材の使用が顕著であった。その後、利用者数は一時的に減少したものの、臨床実習開始後に再び増加傾向となった。アンケート調査では、臨床実習中の学習や評価の機会に応じて腹腔鏡シミュレーターなどが活用されていることが明らかとなった。さらに学生の自由記載の分析から、「24 時間開放」に対する高評価が得られる一方で、「利用方法の提示」などの改善を求める意見も寄せられた。以上より、シミュレーションセンターの利用者数と利用機材の選択は、カリキュラムの影響を強く受けていることが示された。また、管理者不在の環境下においても、学生が自主的に技能学習を進めている実態が明らかとなった。今後、学生のシミュレーション学習をさらに推進するためには、外発的動機づけを促す評価機会の提供や、内発的動機づけを高める仕組みの導入が重要であると考えられる。
教材・シナリオ
  • 山本 憲
    2025 年13 巻 論文ID: 2025-13-03
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/03
    ジャーナル 認証あり
    目的:患者急変時に必要な看護技術の手技や手順を再確認した上で二次救命処置(Advanced Life Support;ALS)を要するシナリオで構成されたシミュレーション研修を受講した卒業前の看護学生の不安と自己効力感の変化とその関連を明らかにする。 方法:中部地区の2施設の看護系大学に所属する4年生を対象に研修会を開催し、研修前後における状態不安と自己効力感について選択式質問紙調査を行った。研修前後の状態不安と自己効力感の得点についてWilcoxonの符号付順位検定を行った。状態不安と自己効力感との関連についてSpearmanの順位相関係数を算出した。 結果:状態不安の得点は、研修前が43.0(34.0-49.0)で研修後に32.5(27.0-38.0)へと低下した(p < 0.001)。自己効力感の得点は、研修前が48.0(40.0-59.0)で研修後に51.0(43.0-62.0)へと上昇した(p < 0.001)。状態不安と自己効力感との間には負の相関を認めた(ρ = ‐0.429,p < 0.01)。 考察:参加者は落ち着いた心理状態で研修に参加することができ、参加後の状態不安は軽減し、自己効力感は高まることが確認された。このことから、今回のようなALSのシミュレーション教育は、就職を目前に控えた看護学生に対して不安の軽減と自己効力感の向上に資する可能性が示唆された。
  • 徳永 仁, 尾中 宏彰, 園田 純一郎, 緒方 恵梨奈, 岡部 愛実, 緒方 賢次, 興梠 靖幸, 岸本 真, 髙村 徳人
    2025 年13 巻 論文ID: 2025-13-07
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/09/09
    ジャーナル フリー
    「薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和 4 年度改訂版)」に対応した〔臨床における実務実習に関するガイドライン〕においてシミュレーション教材の活用が明示された。従来の体験型教育はパフォーマンス評価が不十分だったため、本研究では多職種連携ハイブリッドシミュレータを用い、患者とのコミュニケーションからフィジカルアセスメントまでのパフォーマンス評価を一貫してサポートするシナリオプログラムを開発した。本シナリオプログラムは 10 症例からなり、指導者は学習者のスキルを客観的に評価でき、学習者はその評価結果をもとに自身のスキルを振り返ることができる。
大会長報告
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