本研究では、新型コロナウイルス感染症（COVID-19）が、科研費国際共同研究活動に及ぼした影響について、参加研究者322名の2019年度実施状況報告（KAKENデータベース）をもとに調査分析を行った。この結果、COVID-19の影響に関する記述がある研究課題は、研究達成度が相対的に低く、かつ、同一母集団の前年度との比較でも低いという統計的に有意な関係が見られた。一方、ジェンダー、職位及び研究分野の違いは、研究達成度に有意な差をもたらすとは言えなかった。2020年4月以降の研究では、より大きなCOVID-19の影響を予想する研究者が有意に増えた。また、研究達成度又はCOVID-19の影響認識を目的変数とした決定木分析では、研究実施年度及び研究費総額の影響が示唆された。パンデミック等による研究停滞リスクは、今後も想定されることから、国際共同研究の継続・発展のためのリスクマネジメントについて考察した。
