2023 年 42 巻 p. 87-98
社会的課題に対してビジネスの手法を用いて取り組むソーシャル・ビジネスは、営利ビジネスに比べて市場性が低いため、多様なステイクホルダーとの協働関係が重要になることが先行研究において指摘されてきた。そこで、本研究の目的は、「ノットワーキング(knot-working)」という概念を用いながら、多様なステイクホルダーが円滑に協働する方策について検討することである。そして、ソーシャル・ビジネスにおいて多様なステイクホルダーが主体的に協力し合い、ノットワーキングを機能させる要因として、アジェンダの共有、インセンティブの設定、対等な関係性に加え、ステイクホルダーに対する役割付与が重要になることを事例研究から明らかにした。