2024 年 43 巻 p. 105-116
日本の総人口が減少し、東京圏への人口一極集中が大きな問題となる中、国策として地方への移住が推進されている。しかし、人口移動と諸要因との関連を分析した研究は、市区町村単位で分析したものは少なく、横断的な分析に留まるものが多い。そこで、本研究では、政令指定都市及び東京都特別区部から、大都市圏に属する周辺市町村を除く市町村への人口移動を対象に、ポアソン重力モデルに移動元、移動先ペアの固定効果、時点の固定効果を追加した固定効果モデルを用いて、縦断的分析を行った。その結果、移動先の総人口、第1次産業就業者比率、基準地価、幼稚園数が、大都市から地方への人口移動に正の影響をもつなど、各地域の社会経済的変数のうち、移動元、移動先合わせて11個の変数が、大都市から地方への人口移動と関連していることを明らかにした。