抄録
本研究は,われわれ日本人が潜在的に持っている各種住居床に対する心理的な序列の感覚を定量化し,検討を加えようとしたものであり,4つの小研究より成っている。第1は,一対比較アンケートにより序列感を定量化したもの,第2は,アンケート対象や評価方法による序列感への影響を検討したもの,第3,第4は序列感と履き物や段差との関係に検討を加えたものである。以上の結果,①畳を最上位,土を最下位とする序列の感覚が確かに定量化できること,②この序列感は,アンケート対象や分析手法をこえた比較的安定したものであること,③序列感と履き物や段差との間には強い関係が見られること,などが明らかとなった。