抄録
講義場面の実地調査による大学講義室(教室)26例における意識評価データの解析より,教室インテリア空間に対する学生の評価の構造が総合評価,講義内容,音響およびコミュニケーション性の4因子により記述されることを明らかにし,総合評価を代表する評価尺度である満足度の説明要因を解明した。学生の満足度を高める教室の計画条件は,学生密度の抑制,照明のレベルアップ,採光の抑制,単位幅あたりの奥行確保である。単位幅あたりの奥行確保の条件は寄与が大きくなく,照明条件を優先させるべきである。満足度の説明要因およびこれより導かれる計画条件の構成より評価される教室インテリア空間の特質としては,空間が絶対的な物理環境としてではなく人(とりわけその密度)とともに存在するものであること,また,規模・形態と比較し光環境(照明・採光)の相対的重要性が大であることが指摘できる。