日本インテリア学会 論文報告集
Online ISSN : 2435-5542
Print ISSN : 1882-4471
17 巻
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  • 李 景林, 清水 忠男, 佐藤 公信
    2007 年17 巻 p. 1-7
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,高齢者施設内居室における照明の実態を調べるとともに,その照明条件が入居者の心理や行動と介護者の作業成果に及ぼす影響を明らかにし,入居者と介護者双方にとってより望ましい照明環境のあり方を提示することである。高齢者施設内の入居者及び介護者の生活パタ−ンと照明とのかかわりに関する調査,入居室の照明環境についてインタビュー及びアンケ−ト調査を行った結果,入居者や介護者は,明るさの調節ができる照明,操作が簡単な照明,設置場所について自由度のある照明等のように個人的に制御できる照明を求めていることがわかった。さらに,検証実験により,施設内照明の明るさ,操作の仕方,制御の程度,照明の配置などが,入居者及び介護者の心理や行動に肯定的な影響を与え得ることがわかった。
  • 河村 容治
    2007 年17 巻 p. 9-20
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    ラジオシティ法に基づいたレンダリングは,空間に拡散した光の効果を視覚化するもので,フォトリアリスティックなパースを作成することができる。しかし,一般ユーザーレベルのインテリアデザイナーにとって,ラジオシティの概念の理解は困難であり,ラジオシティを敬遠しがちである。この研究では,3 DCAD を用いて,インテリア空間の,ラジオシティ法に基づいたレンダリングを繰り返し行い,パラメータの相関関係を探ろうとするものである。さらに,出来上がったレンダリング画像とレンダリング時間との総合評価で,インテリア空間に適した,一定の質以上の画像を,最小限の時間で得るためのレンダリングの設定の指針を示そうとするものである。
  • 武田 雄二
    2007 年17 巻 p. 21-26
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    現代の建築物は,さまざまな問題を抱えている。それらは,建築材料に起因する「シックハウス」や,エネルギー消費がもたらす「地球温暖化」および,建設廃棄物による「環境破壊」などである。このような状況において,現代に生きる我々は「健康住宅」・「省エネルギー」・「サステイナブル建築物」を実現するための方法を見つけなくてはならない。 そこで,本論文では古くから調湿性・断熱性・難燃性があるとしてわが国で高い評価を得ている「桐」の特性を活かした壁体の提案を行う。その実現のため,枠組材を開発し,断熱性や断湿性についての効果を調べるとともに,反射による包囲音の音質改善効果についても調べた。
  • 小川 和彦, 永田 彰秀, 岡部 敏弘, 小川 誠
    2007 年17 巻 p. 27-30
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    ウッドセラミックスはエコ材料として注目されている新しい材料である。本研究では,ウッドセラミックスパウダを混ぜた新しい塗料を作成し,その塗装膜のホルムアルデヒド吸着性能の検証を行った。また,ウッドセラミックスパウダの混合比を変えた塗料を作成し,塗装膜の強度,吸着性能の比較実験を行い,その結果ウッドセラミックスパウダと塗料の適切な混合比を明らかにし,その有効性を確認した。酸化チタンの触媒効果についても実験を行い,触媒を混ぜることによって,吸着の性能が長期にわたって維持できることを確認した。
  • 学生の満足度評価よりみた計画条件の検討より
    矢田 努, 高木 清江, 仙田 満
    2007 年17 巻 p. 31-37
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    講義場面の実地調査による大学講義室(教室)26例における意識評価データの解析より,教室インテリア空間に対する学生の評価の構造が総合評価,講義内容,音響およびコミュニケーション性の4因子により記述されることを明らかにし,総合評価を代表する評価尺度である満足度の説明要因を解明した。学生の満足度を高める教室の計画条件は,学生密度の抑制,照明のレベルアップ,採光の抑制,単位幅あたりの奥行確保である。単位幅あたりの奥行確保の条件は寄与が大きくなく,照明条件を優先させるべきである。満足度の説明要因およびこれより導かれる計画条件の構成より評価される教室インテリア空間の特質としては,空間が絶対的な物理環境としてではなく人(とりわけその密度)とともに存在するものであること,また,規模・形態と比較し光環境(照明・採光)の相対的重要性が大であることが指摘できる。
  • 特に停止時昇降で感じる違和感について
    久保田 一弘, 岸本 文一, 直井 英雄
    2007 年17 巻 p. 39-43
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    エスカレーターは,建物上下階のきわめて有効な移動手段であるが,場合によっては停止している状態で昇降せざるを得ないこともある。本研究は,エスカレーターを昇降する人間の歩行動作特性をとらえることにより,特に停止したエスカレーターを歩行する際に感じられる違和感がどこから来るものか,人間工学的に説明することを目的としている。 研究の結果,停止時昇降においては,本来の歩幅や歩行リズムが強制的に縮められることが確認され,これが違和感につながるとの推測が得られた。
  • 松田 奈緒子, 加藤 力
    2007 年17 巻 p. 45-51
    発行日: 2007年
    公開日: 2022/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,「他者」がインテリア空間における自己表出にどの様にかかわっているのかを明らかにすることである。そのため,若者の個室を対象に,写真投影法を用いた実態調査を行った。その結果,他者を意識することで,しつらい実態やしつらい意識が異なることが明らかになった。また,他者との差異が意識されて創られたインテリア空間は,住み手のインテリア意識も高いことが把握できた。さらに,「自己存在感の希薄さ」を抱く若者を対象に同様の調査を実施した。その結果,彼らのインテリア空間における自己表出にも「他者性」が深く関わっていることが明らかになった。このことから,インテリア空間は,社会心理学的に考察すべき対象であると結論付けた。
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