本研究の目的は,「他者」がインテリア空間における自己表出にどの様にかかわっているのかを明らかにすることである。そのため,若者の個室を対象に,写真投影法を用いた実態調査を行った。その結果,他者を意識することで,しつらい実態やしつらい意識が異なることが明らかになった。また,他者との差異が意識されて創られたインテリア空間は,住み手のインテリア意識も高いことが把握できた。さらに,「自己存在感の希薄さ」を抱く若者を対象に同様の調査を実施した。その結果,彼らのインテリア空間における自己表出にも「他者性」が深く関わっていることが明らかになった。このことから,インテリア空間は,社会心理学的に考察すべき対象であると結論付けた。