抄録
本報は,いすや車両・旅客用シートの評価手法について,人間工学的手法からその評価を行い,その結果をいす・シート設計へ応用する方法について論じるものである。本研究によるいす・シートの評価実験の分析から,以下のことが明らかになった。
(1) シートの評価は,単独でなく総合的に行うことが重要である。被験者による評価は,必ずしもいす・シートの特性を正確に捉えられない場合がある。
(2) 静的条件だけでなく,動的な条件による評価を行うことで,評価の精度を上げることができる
(3) 被験者によるクッション性と寸法・角度についての評価により,ある程度いす・シートを評価することができるが,この場合には評価項目が重要となる。
(4) いす・シートの設計者は,いす・シートの知識と皮膚の感覚機能を高めることが必要である。