日本インテリア学会 論文報告集
Online ISSN : 2435-5542
Print ISSN : 1882-4471
墨文字の墨色に関する研究Ⅱ
画像処理ソフトによる分析
和田 彩靑木 務
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キーワード: 墨色, 画像, 心理イメージ, 測色
ジャーナル オープンアクセス

2009 年 19 巻 p. 1-8

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抄録
本研究の目的は,墨色の微妙な色合いを数値化し,墨色の物理的性質を示すとともに,人間の視覚が墨色から受けるイメージである視覚的特性との関係を明確にすることである。最初に,分光測色計とデジタル画像による色情報の互換性を確認し,その上でデジタル画像の色彩値 L* a* b* により,紙や墨,濃度の違いによる墨色の色みについて検討した。その結果,地色の紙の色みは b* に起因し,固形墨と液体墨の特性は L* と a* の関係から概ね示された。次に,被験者による官能検査では,一般人は書家と同じように墨色の濃淡を判断できることがわかった。しかし,墨色の発色に関する「透明感」の項目では,一般人と書家では若干評価が異なった。このイメージの差異は,個人の経験や知識から得られる視覚による情報の確かさの違いと推察される。最後に,心理物理量の関係から「濃淡」は明度 L* で,「透明感」は彩度 C* により指標化できた。しかし,墨色の発色に関する問題は,紙の素材や色,表面加工による影響など,さまざま要因が関係していると考えられ,今後さらに追及していく必要がある。
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© 2009 日本インテリア学会
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