本研究は,ケア単位が異なる知的障がい児入居施設の重度障がい児の居室における内装材等の保全状況の調査をもとに,重度障がい児の特性に対する建築的アプローチの分析・考察を通して,今後の知的障がい児入居施設の居室デザインに生かされる知見を提供することを目的とする。 その結果,居室保全のアプローチにおいては,①安全性の確保への対応として,内装材の強度を増すこと,破損個所を隠すこと,内装材を交換することが,②問題行動への対応として,児童への刺激を減らすこと,児童の問題行動を予防すること,児童の関心をそらすことがなされ,汎用性・融通性等のあるデザインや強度・衝撃吸収性のある内装材の必要性が明らかとなった。